アドベンチャーゲームの入江

アドベンチャーゲーム(ADV)を600本以上持つ筆者が、商業ゲームプランナーの視点からADVを紹介するブログ。ギャルゲーからミステリまでADVならなんでも。

【DC】将棋×恋愛ADV『すい~とし~ずん』ミニレビュー。詰将棋を解くギャルゲーとは。

f:id:irienlet:20200129101837j:plain

2月には現代将棋ミステリを謳う『千里の棋譜』が発売、更に将棋を扱ったライトノベルりゅうおうのおしごと!のゲーム化も決定し、市場は今まさに将棋ブーム!(?)

となると、どんな将棋×ADVのゲームが昔あったのかが気になりますよね?

そこで見つけたすい~とし~ずんという作品をプレイしました。詰将棋の問題が出てくるギャルゲーは、後にも先にもこれだけなのでは!?

 

スポンサーリンク

 

主人公くんは将棋部の新人部員。夏休みは朝7時から練習すると部長に言われ、6時半に公園をうろついていると、そこにはなんとも凶暴な子犬と可愛らしい女の子が!

もうこれには一目惚れ。しかも彼女も将棋をやっているとか!心の中で舞い上がる主人公くんだが、その彼女はかなりの天然キャラ。いまいちこちらの想いが伝わっていない気が...。しかも部活の集合時間は10時だった。

なんやかんやで彼女とその友人も、夏休み中将棋部に出入りすることに。ドキドキの部活動生活がはじまる!

ストーリーはこんな感じですね。で、こちらがその彼女。

f:id:irienlet:20200128144424j:plain

神宮司歩未ちゃん。すごいお屋敷に住んでいる、ちょっと男っぽい語尾が特徴。

ただ、それほど長くはない作品なので、部でのドロドロした描写などは無し。突き抜けている部分も特に無く、まあ普通だなあという感想。

 

ですが、部活や大会で実際に将棋を指すことになるシーンが面白い。

大抵の部活モノはここをテキストで終わらせてしまいますが、本作は「将棋に関する知識問題」や「詰将棋」が出題され、その正誤によって対局の結果が(差分レベルですが)変化します。大会を例に挙げると、全問正解で全勝、1問不正解で二回戦敗退になるなど。

で、この知識問題が一般人にはちょっときつい。テレビ対局などをよくご覧になるかたには簡単だと思いますが、「駒の動かし方くらいは知ってる」レベルだと苦戦しそう。

ということで実際に出てくる問題を掲載するので挑戦してみてください!

Q1. 駒の動かし方はわかりますよ!

f:id:irienlet:20200128144644j:plain

Q2. 知ってるひとは知ってそうなルールのひとつ。

f:id:irienlet:20200128144851j:plain

Q3. 棋譜を見たことがないと難しそう。

f:id:irienlet:20200128145039j:plain

Q4. 将棋の解説で「居飛車党」って聞くなあ。

f:id:irienlet:20200128145155j:plain

Q5. 詰将棋、三手詰め。

f:id:irienlet:20200128150307j:plain

Q6. ひふみんが棒銀大好きなのは知ってるけど...

f:id:irienlet:20200128145329j:plain

 

どうでしたか?

私は小学生の頃に初期の柿木将棋で指していた経験があるのと、ネットでたまに話題になる将棋動画をミーハー的に見ているくらいなので、戦術に関する問題はサッパリでした...。棒銀ってなんぞ。

攻略サイトによると知識問題・詰将棋あわせて80問以上あるらしいので、本作でご自身の知識と腕前を試してみてはいかがでしょうか!ちなみに、大きな大会やストーリー後半になるほど出題される問題が難しくなっていたのが、レベルデザイン的に非常に良かったです。

(Q5 が解けたかたに読んでいただきたい)正解は「2一飛から3二金」なんですが、これ「3二飛から2二金」じゃダメなんですかね?「3二飛→2一玉→2二金」でも三手詰めのような気が...。詰将棋の正確なルールを知らないもので...。

 

レベルデザインの話をもう1つすると、以前『恋する乙女と守護の楯』のレビューでも軽く触れましたが、昔のゲームなのもあり選択肢が多めで good です。ゲームとして楽しめます。

惜しいのは、キャラの入退場・立ち絵の切り替え時にいちいち「メッセージウィンドウが消える→キャラ増減or絵が変わるetc.→メッセージウィンドウ再出現」という手順が踏まれており、若干テンポが悪いところ。オプションから「演出速度」を最大にすれば多少はマシにはなるが、短めのストーリーが幸いして、印象最悪!ってほどではなかったです。

でも既読スキップが無いのは...まあ20年近く前だし仕方ないか...。

 

とまあ、そんな感じの『すい~とし~ずん』。

動作やシステムに古臭さはあるが、古いからこそ選択の幅もあるため悪いだけではない。そして何より、主題となっている将棋に関する問いかけが非常に豊富で、将棋を好むかたも楽しめるであろう一作。

家庭用では Dreamcast と PlayStation2 のみの発売で、今からプレイするのは大変かもしれませんが、興味があれば手にとっていただければと思います。

 

(C)Tarte / TAKUYO CO.,LTD. 2002-2003

 

スポンサーリンク