アドベンチャーゲームの入江

アドベンチャーゲーム(ADV)を600本以上持つ筆者が、商業ゲームプランナーの視点からADVを紹介するブログ。ギャルゲーからミステリまでADVならなんでも。

わたしの思う、アドベンチャーゲームのいいところ!

突然ですが、こんなこと、ありませんか?

私「ゲーム好きです」
*『どういうのが好きなの?』
私「アドベンチャーゲームですね~」
*『アドベンチャーゲームって?ゼルダ?』
私「テキストを読み進めるタイプのあれですよ。」
*『ふーん・・・(興味失った顔)』

アドベンチャーゲーム(ADV)が好きと言うと、大体こんな反応をされます。
面白さが認識されていないからでしょうか・・・、悲しい想いを結構してきました。
どこぞのインターネッツでは紙芝居などと揶揄・侮蔑されているのも悲しい。

そこで今回は【私が考える、アドベンチャーゲームの面白さ】についてお伝えしたいと思います。

※この記事は時を経てリライトされていますのでこちらもお読みくださいませ。

 

 

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【自分の手で世界を変えられる面白さ】

テキストADVが他ジャンルのゲームと一線を画しているのは、まさにこの部分。
自身の選択によって、物語の展開に変化が生まれます。
世界の様々な要素・様相が変わっていくのです。変えられるのです、あなたの手で。


物語の展開がどうこうって、RPGと何が違うの?となりそうなので、図解。

f:id:irienlet:20191220135407p:plain▲RPGのストーリー展開図

 

f:id:irienlet:20191220135439p:plain▲ADVのストーリー展開図 

 解説です。まずはRPGの一例。
物語の中で、魔王を討つという最終目的が与えられます。
それまでの関門として、中ボスを攻略しなければならない。というパターンが多いと思います。
それらに辿り着くまでに、プレイヤーは各々違う道を通るでしょう。
レベルを上げたり、カジノで遊んだり、コンプ要素をこなしたり早解きをしたり。
でも、それらは最終的に「魔王撃破」の一点に収束します。

ADVではどうでしょうか。
学園祭を成功させる、大切な人を救う、大きな事件に立ち向かう。
到達点は様々だと思いますが、その中で出現する数々の選択肢によって
物語の展開に変化が生まれます。
こちらも、プレイヤーによって発生するイベントに差があるなど違う道を進みますが
その差異はひとつに収束することなく、世界があらゆる方向に分岐し、終着駅へ辿り着きます。

これがアドベンチャーゲームの面白さ、自らの手で世界を展開させてゆけるというものです。
私が選んだ結末なんだ、という感情が強く残る。
数々の選択の先にバッドエンドをくぐり抜け、グッドエンドに辿り着いた時の気持ちよさは、
他のジャンルのゲームでは味わうことの出来ない、「爽快感」があります。


ADV独自の物語展開を体験したいなら、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』
結末を選択することの重みを味わうなら『Life Is Strange』といった作品がオススメです。

 

 

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【観察と思考で「気付き」を発掘する】

アドベンチャーゲームも他ジャンルのゲームに漏れず、
後半になるにつれその選択が重大・難解となり難易度が上昇する。
その中で求められてくるのが、元来持ち合わせている観察力や思考力であると思う。

アクションゲームのレベルデザインについて少し齧ったことがあるのですが、
ACTではまず「仕掛け」を紹介してそのものを学習させ、仕掛け自体を複数個置いたり
アイテムや敵、はたまた別の仕掛けを組み合わせたりすることによって徐々に応用をさせていく流れになっています。

これがアドベンチャーゲームになると・・・
恋愛ADVならば、キャラクターの発言や行動に注目し、そのキャラの心理や思考を学んでいく。
ミステリ系ならば少しの違和感が手がかりとなっていく。
一挙手一投足に目を光らせていくのがADVなのです。ACTで言うところの「仕掛け」に常に触れているようなものです。

描写されている内容を観察して、要所要所での選択内容を考え判断する。
これにキャラ同士の組み合わせや場面、イベントの内容を加味して思考していく。
・・・そうして選択に選択を重ね、自身の手で結末を掴み取るのだ!

アドベンチャーゲームは、その選択の根拠に「気付く」のが面白い。そう思います。


応用編としては、選択肢としてゲーム側から提示されるもの以外にも
会話の中で気付いたことに対するツッコミのように、自身で選択肢を展開出来るものもあります。
『北へ。』シリーズのCBSシステムや『Missing Blue』のIPSシステムなど・・・。

余談ですが最近は、攻略したいキャラをダイレクトに選ぶものや選択肢の数が非常に少ないものがあって残念。

~~~
ここで1つ、「選択肢」の形が面白いゲームを紹介いたします。
かの有名な『Steins;Gate』です。
本作はその物語の完成度が評価されていると思いますが、
私としては「選択肢らしい選択肢ではない選択肢」である「フォーントリガー」システムも好きです。

『Steins;Gate』における選択は、
・携帯電話に届くメールにどう返信するか
・着信に出るか出ないか
の2つが大きなものとしてあります。
現代の我々の必需品とも言え、触れる日は無いひとも多いであろうこのアイテム。
もちろん、使用するのに抵抗は無いでしょう。
「選択肢の表示」を廃し、それを「携帯電話」という身近なものに置き換えることによって
高い没入感を生み出している。そう思います。

 


 

【「立ち絵+メッセージウィンドウ」独自の表現】

アドベンチャーゲームといえば、キャラクターの立ち絵表示とメッセージウィンドウが(主に)下部にあるもの。
つまりは静止画なんですね。
静止画の分野で言えば、漫画がその媒体で多種多様な表現を行っています。
そんな「静止画ならではの表現の追及」を行っているADVも、数少ないですが存在します! 

【DC】 パンドラの夢

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©2002 PAJAMAS SOFT/NEC Interchannel,Ltd.
漫画の1ページのように台詞や立ち絵が表示されていくのが特徴です。
スチルのシーンでは画面端にモノローグのように表示されます。
地味にテキストが全編縦書きだったりします。

 

【DC】 白詰草話 -EPISODE OF THE CLOVERS-

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©2003 Littlewitch Inc./NEC Interchannel,Ltd./HuneX
本作のために開発された「フローティング フレーム ディレクター(FFD)」システム。
画面上にコマ(齣)に描かれたキャラの絵や吹き出し上の台詞が動き回り、
場面場面における表現をより豊かにしています。

 

【PS2】 Quartet!! THE STAGE OF LOVE

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©2004 Littlewitch ©PrincessSoft
『白詰草話』を手掛けたのと同じ会社による作品。
『白詰草話』とは舞台や雰囲気が異なるため、FFDシステムもまた違った味を出しています。
心なしか、FFDのバリエーションや見せかたが一歩進んでいる気がします。
家庭用移植が PrincessSoft に変わったからか、パッケージではFFDのことに一切触れられていないため
外側だけではこんなに面白い表現技法を使っているのがわからないのが惜しい。推してほしかった。

 

【PS4/PSV】 √Letter

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© 2016 KADOKAWA GAMES
超簡易的ではありますがFFDを受け継いでいる気がします。
メッセージウィンドウは下部固定ですが
キャラの絵が表示されるコマの割り方や動きは細かく設定されており、
メッセージ部もその形を変えることによって工夫していると思います。

立ち絵が無いのは予算削減ではないと思ってはいます。

 


 

・「自分の手で世界を変えられる」
・自らの力で「気付き」を発掘する
・「立ち絵+メッセージウィンドウ」独自の表現

 

アドベンチャーゲームの面白いところ、として考えている3つについてお伝えしました!
特に推したいのはやっぱり最初に紹介したポイント。
是非ともこの面白さを体験してほしいです!

 

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