続編・『恋する乙女と守護の楯~薔薇の聖母~』がPS4等で発売されたので、その前作にあたる作品をプレイしました。
『月に寄り添う乙女の作法』では得られなかった、女装モノに求めていた内容あり。
しっかり BAD END も用意されてゲームとしても良い内容もありと、楽しめた作品でした!
ストーリー
主人公・如月修史は警備会社「アイギス」に所属する新人エージェント。表の顔は警備会社だが、クライアントの事情で警察に頼めないような要人警護も行っている。今回の任務は、ミッション系の女学園に潜入しての要人警護。
女学園なので無論、女装で。
女性に免疫の無い成人男性である修史は花の園で、無事に楯として彼女達を護り通すことは出来るのか!?
修史くんは男の子なわけですから、学園のお嬢様とは全然違った生活をしてきました。なので女の子としては粗野でガサツだし、大股で歩いちゃうし…。でもそんなところが学園の生徒会であり護衛対象でもある「撫子会」のお嬢様達の目にとまり、受け入れられていきます。(使用人的な立ち位置からですが)
不慣れで手探りな女の子としての生活、日に日に磨きがかかる女装に男性として苦悩する姿に飽きさせない面白さがある。特に面白かったのは…
このシーンですね。やはり学校ですので、こういうイベントは避けられない。
これらをどう切り抜けるか、男性であることがバレないようにするにはどうするか…それをしっかり描いているところに好感が持てます。
ちなみになんと修史くんもフルボイス。声優は有名な釘宮理恵女史。ボイス付きで彼の苦悩がより伝わります。
護衛の対象は、撫子会の会長で財閥の娘である春日崎雪乃(かすがざき・ゆきの)、副会長で大物政治家の娘・椿原蓮(つばきはら・れん)。
物語中彼女たちは幾度も危機に遭遇しますが、襲撃者の方もセオリー通りの場面や方法で仕掛けてくるので予想が立てやすく、むしろ「この状況から修史がどうやってヒロインを護るのか?」と期待させてくれます。
修史も新米エージェント、不慣れな生活ということもあって完璧な存在として描かれてはおらず、失敗を踏まえてしっかり成長していくのがいいですね。
また、修史がしっかり男性として描かれていて感心させられたのがこのCG。
奥に立っているのが修史くんの女装です。彼自身も「薄着になると骨格が目立ってしまう」と言っている通り、手前の女の子と比較すると明らかに肩のいかつさが男性のそれ。細部まで手を抜かない良い仕事をしていると思いました。
なお普段は制服でニーソックス着用、冒頭で女学園への赴任が決定した瞬間に脛毛が剃られる描写があったので諸々は大丈夫なのでしょう。このCGを見る限り私服も露出は控えてますし。設定が徹底されている!
・男性が女性の中でどう過ごすか?
・男性であることがバレそうな危険なイベントはどう乗り切るのか?
・バレた時にどう振る舞い、そしてどう彼女たちに受け入れられていくのか?
この辺を気にしつつプレイしていたのですが、「さすがに無理があるでしょ…」という描写はあまり無く、快くプレイ出来ましたね。
化粧でそばかすを付けるのだが、「昨日とそばかすの位置が違うのではないかしら?」と突っ込まれたのは good 。そういう「危うさ」の上になんとか成立していることが描かれています。
ゲームとして
選択肢が豊富に用意されており very good.
ヒロインの名前を選ぶことが多いが、その後のヒロインとのエピソードでの選択が大事で、ここで間違い続けるとたとえ毎回攻略したいヒロインを選んでいても BAD END へ…という、ゲームとして良いつくり。
また、「護衛任務」である関係上、対峙する敵の襲撃を受けてやられてしまう結末も。
最近の作品はヒロインのルートに入ると間違いなく結ばれるエンドだし、そもそも BAD END なんて存在しないものが多いだけに、これが昔のゲームの良さだなあと思いました。
そのほか
このバカっぽい描写、結構好き。
あと、オープニングがやたらかっこいい。
続編の体験版を少しプレイしていますが、本作での任務の経験を活かし、女装はお手の物のほか言葉遣いも自然なお嬢様になっているように見えました。ボイスがついていないのが残念ですが…。
総評
私が女装モノに求めたシチュエーションや危うさがしっかりと搭載されており、好みと言える一作。面白いから傍に置いておいてあげるわ~という感じから始まった修史と撫子会の面々との生活に、やがて信頼感が生まれていく様も丁寧かつ自然体で描かれていて良い。
ゲームとしては、攻略において考える楽しさを体験することが出来る。これは近年の作品では殆ど得られない。テーマ、ゲーム性ともに自身が求めているものがこの作品にはあった。
ノーマークだった作品ほど、面白かった時は嬉しいもの。続編、買います。
(C)AXL/Alchemist