アドベンチャーゲームの入江

アドベンチャーゲーム(ADV)を600本以上持つ筆者が、商業ゲームプランナーの視点からADVを紹介するブログ。ギャルゲーからミステリまでADVならなんでも。

【Switch/Steam】『チックタック:二人のための物語』を遊んでみた感想。自宅待機同士のお友達といかが?

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Nintendo Switch と Steam で配信中の「協力型・謎解き脱出アドベンチャー」、『チックタック:二人のための物語』をプレイしました。

本作は1人で遊ぶことは出来ず、ソフトを2本用意しプレイヤーを2人以上集めて遊ぶ作品で、プレイヤー同士のコミュニケーションが鍵となる面白い試みがされています。

なかなか楽しめる作品だったのでご紹介します!

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どういうゲーム?

ベーシックな謎解きゲームです。あたりにあるものを調べ、そこにあるヒント達を繋ぎ合わせて閉じ込められた過去の世界から脱出するというものです。

ではそのどこで「協力」をするのか?

はじめに「ソフトを2本用意する」と言いましたが、本作の謎解きは、2本のソフトそれぞれに示される異なったヒントを組み合わせないと解けないものになっています。

詳しく紹介すると、ゲーム開始時に「プレイヤー1」か「プレイヤー2」かを選択することができ、片方が1・もう片方が2を選んでスタートします。1と2では与えられる情報に違いがあり、それを互いに伝達するコミュニケーションを活用してゲームを進めていく、「情報の非対称性」を利用した謎解きゲームです。
ソフトが2本あって一緒にプレイしてくれる人がいて、電話などで会話が出来るならば離れていても遊べます。

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「プレイヤー1」の視点と「プレイヤー2」での視点に予め収録されている内容を伝え合うものなので、プレイに際し Nintendo Switch Online の契約は不要。更に Switch と Steam でその中身が異なるわけではないので、事実上のクロスプレイも可能になっています。もちろん Switch を2台持ち寄ってローカルで楽しんでもよし、1つの家の中で1人は PC で、もう1人は Switch でというプレイスタイルもよし。様々なプレイスタイルに対応した謎解きゲームというのも魅力的ですね。ただ、お互いの画面を見せ合うことだけはしてはいけませんよ。あくまで非対称性から発生するコミュニケーションが鍵なわけですから。

 

肝心の謎解きは?

友人と通話をしながら協力して2時間ほどでクリアしました。

「え?短くない?」と思われるかもしれません。ですが、相手側の画面のヒントは相手の中のフィルターを通した音声情報でのみ伝わってくるのでこちらも想像力を常にかきたてなければいけないですし、自分も「どうやったら上手く伝わるか?」と考えて話すことになるので、結構頭を使う濃い体験が出来ると思います。

例えばこのヒント。

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相手側も同じような半券を手に入れるのですが、「そっちには何が書かれている?」や「どっちが上でどっちが下だろうか?」とか「引かれている線をどう伝えるのか?」などを互いに相談・伝達する必要があります。そしてその判断材料になる付帯情報...この場合だと「00067」という数字やマスの数...もどうやって処理・表現するかが大事です。このヒントのように2人とも同じ答えに辿り着かないと先に進めないものもあるので、本当にコミュニケーションが重要になりますよ。

謎解き自体の難易度は中くらいだと思いますが、やはりパズルなのでヒラメキは求められます。また、漢字等の要素から年齢が低めの方が単独でプレイするには難しいと思いましたし、 Steam は13歳未満だと利用規約に同意出来ないのでそのあたりは注意していただければと。

個人的に、最終章の謎は解けたときにすごく気持ちよかったですね。「よくこの情報をこっちに処理したな~、さすがだわ~」って感じで自画自賛しまくりました!!!(参考までに、自分は「なぞなぞ」や極端な発想を求められる問題はかなり苦手です。)

 

まとめ

情報の非対称性を利用したゲームは Wii U の頃に GamePad を活用した『Nintendo Land』などに見られましたが、時代は下り手軽な通話環境と Nintendo Switch という持ち運んで遊べるプレイスタイルが出現し、より生まれやすくなったと感じます。

本作はそれを謎解きにあて、「どうやって伝えようか?」「どうしたら伝わるかな?」という、人それぞれ異なる形であるコミュニケーションを鍵にすることにより「解法への道筋の多様性」を生んだ面白い一本。

「それはどういうこと?」「ここにあるヒント、そっちで使えないかな?」とキャッチボールを行ったり、「それは多分これが答えだから、こうやって操作してもらえる?」と相手をリードしたりと、2つの異なる場面をそれぞれに映し出すことの出来るゲームでこそ容易に出来て、共有も可能な体験が本作にはありました。

有料のオンライン会員になる必要は無く、そもそも同じ場所にいなくても協力プレイ出来る「一緒に遊ぶ」ことのハードルの低さも魅力。Switch かパソコン、そしてスマホで電話をかけられるならすぐに遊べてしまいます。長期休みで暇だなと感じられた方は、是非お友達を誘って本作に挑戦してみてはいかがだろうか? 

(C) Other Tales Interactive 2019

 

 

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